From Ichihara Chiba

沢田家の その後

沢田さん

東京、鹿児島を経て、現在は夕木に家族3人で暮らす沢田さん一家。移住して2年が経ち、お子さんの芙希ちゃんを育てながら梨畑で働く沢田さん。今、何を感じどのような暮らしをしているのか。芙希ちゃん手作りのお菓子とほくほくのさつまいもをいただきながら話を伺った。月刊開宅で紹介した移住者のその後を取材する特別編、月刊開宅“その後”。沢田さん、その後どう?

「その後、感じていること」

開宅舎 岡本(以下Oと示す):実際に住んでみて、住む前のイメージと何か変わりましたか?

沢田沙喜代さん(以下Sと示す):元々ここでの暮らしをそんなにイメージしていなかったんです。期待したりこうなったらいいなっていうのを考えても、違ったら疲れちゃうなって思っていたので。行ったら行ったで、これはこういうものと受け入れようと思ってました。なのでそこまでギャップみたいのはなかったですし、毎日楽しく暮らしています。

沢田芙希さん(以下Fと示す):私は東京も好き!

O:ふきちゃんは東京も好きなんだね。(笑)

S:大学生や社会人になったら、日本に限らずね、もうどこにでもって思っているんだけど、小さい時にこういう環境にいさせてあげられたらって。こっちからの押し付けかもしれないけど、贈りものだと思って、大きくなった時に思い出してくれたらって思ってるんです。

「その後の暮らし」

O:以前イタリア料理店で働かれていたということでしたが、こっちへ来て何の仕事をやられてるんですか?

S:今はパパは造園の仕事をやっていて、私は梨畑で働いているんです。レストランで仕事をするとなると、やっぱりみんながご飯を食べる時間に働かないといけなかったり、週末も働くことが多くなったりして、この子との生活の時間がずれちゃったりするから。でも、今の農業の仕事も楽しいんです。ふーちゃんは、私もやるって言って一緒にやってたりしますね。

O:お休みの日は家族でよく行く場所とかあるんですか?

S:勝浦によく遊びに行きますね。ここからだとすごく近いんです。30分とかで行けたりして。パパがサーフィンが好きで。パパずっと海に入ってて、もう海坊主状態。(笑)
海で日の出を見たり、近所の犬のきなこを連れていったりしてますね。でも、きなこは海に連れて行くとまた連れてかれたーって嫌な顔をするから、海が嫌いなのかもしれない。(笑)

あとは温泉とか、御宿にお魚食べに行ったり。釣りもやってみたいなって思って、ふーちゃんと一緒にやったんですけど、餌がすごい動いて、うわわってなっちゃって、釣りは上手くいかなかったんです。この辺は勝浦とか御宿にゆるゆると行けちゃうので、東京の友達が来た時も海に連れて行ってあげると楽しんでもらえますね。

「その後の関わり」

O:さっき沢田さん家に来る時に野菜をおばあちゃんが持ってきてくれていましたが、よくもらうんですか?

S:くれるくれる。そうよくいただけるんです。ふーちゃんも学校帰りにランドセル背負って、大根片手に帰ってきたり。こないだはチズコさんがくれたよね。野菜以外にも、帰りのバスおりて雨降ってた時に傘貸してくれたりとかね。この集落には子供がいないから、みんな見ていてくれるんです。この子が1人で出歩く時もあるから、そういう時は集落の人たちが見ていてくれるから、すごく安心ですね。

O:そうですよね、何か異変があった時とかすぐに気づいてくれたりするから、そういった安心感はありますよね。

O:地域で集まりごとはあったりするんですか?

S:掃除とか草刈りがあります。そんなにぎちぎちしているわけでもなくて、時間あったらおいで〜っていう感じです。でも、うちのパパがすごい戦力みたいで、みんなに来れる?来れる?って聞かれるんです。もはや私はお呼びでないなって。(笑)

O:造園のお仕事もされてるってなったら、すごい頼りにされちゃいますよね。

S:この地域の人たちは元気で、朝野菜を持ってきてくれたおばあちゃんも90歳くらいだし、そこのユンボのおじいちゃんも95歳なんです。趣味小屋があって、よく寒い日なんかはストーブ炊いてたり、耳が悪いから爆音でラジオ聴いてたり。そういうおじいちゃん、おばあちゃんたちがすごく元気なんです。

地域の人に野菜とかね、もらう機会も多くて、すごく良くしてもらっています。家に帰るとたけのこがゴロゴロ置いてあったりして、もう食べきれないくらい。最近だとふきのとうとか。ふきのとうって雄と雌があるって知ってる?

O:そうなんですか!初めて聞きました。(笑)

S:雄と雌で味が違うんですよ。花が開いた時にぼっと開くのが雄で、開かないのが雌なんです。ふきのとうをふき味噌にして、おにぎりにして食べると美味しいんです。

あと、こっち来て初めて知ったのが豆造(とうぞ)。こっちの地方の食べものみたいですけど、味噌作りの時の大豆の煮汁を使った食べもので、それをこっちの人はご飯の上にかけて食べたりしていますね。

「その後、気づいたこと」

O:ここにくる時に通ってきた道がすごくきれいですよね。

S:そうなんです。みんな自分のことは自分でって、すごく手入れをされていているんです。畑とかもみんなきれいにやっていて、すごいなぁって思っちゃうんですよね。それをふーちゃんに言ったら、ふーちゃんが「人と比べなくていい!ママは初めてで、まだそんなにたってないんだから大丈夫なの!お仕事だってしてるんだからいいの!」って言ってくれたんです。

O:ふーちゃん、考えがしっかりしててすごいですね。

O:沢田さんみたいに、これから地方に移住したいなと思っている人は他にもいると思うのですが、実際にここに住んでみて、どういう人が合うと思いますか?

S:これやりたいってのがなくても、来てみると色々発掘できたり、見えてくるものがあったりするから、来てから考えても良いような気がしますね。この地域は年上の人が多いから、そこで甘え上手な人とかは上手くやっていけると思います。(笑)

O:今ちょうど2年ここに住んでみて、何か思うこととかあったりしますか?

S:そうですね、ほんとに毎日の生活が楽しく暮らせていますね。どこかへ行って買い物するのも、それはそれで楽しいと思うんだけど、ここでの生活は自然が近いから季節を感じることができたり。最近は朝家の窓を開けるとブワーっと梅の甘い香りがして。なんか今日も1日春に近づいたなって感じられる。今日も家族が元気で夕ご飯を一緒に食べられれば良いなって、欲張らなくなりました。目の前のことを毎日積み重ねていくだけで満たされてるなって思いますね。

沢田さん

加茂地区最南端の戸面町会にお子さんと一緒に移住した沢田さん。

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